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『ゴールデンスランバー』が面白かったので、
伊坂幸太郎さんの小説を新たに読みました。
前回に読んだ『ゴールデンスランバー』は、
長編小説でしたが、今回の『死神の精度』は
表題作をはじめとした6編からなる短編集です。
長編作品をじっくりと読むのが好きなので、
あまり短編集って選好しないのですが…
知人が貸してくれた幾つかの本の中に、
たまたま伊坂さんの小説があったので、
手にとってみました。
タイトルにもある死神が各編での、
共通の主人公となる短編集です。
ミュージックが好きで、渋滞を嫌悪し、
サラリーマンのように仕事を抱える死神…
というちょっと風変わりな主人公です。
死神は、一週間前に控えた人の前に姿を表します。
そして、その人の生活状況を調査し、
一週間後に迫った「死」を「可」とするか、
「見送り」とするかの報告を行ないます。
多くの場合は「可」となるらしく、
八日目に「死」が調査対象者に訪れます。
この死神のキャラクター設定だけでも、
面白いなぁと思える作品でした。
もちろん“仕掛け”が上手ければ、その分、
その仕掛けをどのように活かしていくかが
難しくなると思いますが…
やっぱり伊坂さんって技量のある作家さんだなぁ、
と思わせる作品の数々でした。
目前に死に控えて、そしてその多くの場合、
調査対象者達はその事実を知らないのですが、
それぞれの人生がその最後かもしれない一週間に
凝縮されているようです。
死神はそれぞれの一週間を調査対象者の隣や
間近で眺めて、「可」か「見送り」の報告をします。
死神は事務的に報告を行なおうとする一方で、
死を目前にした人間の言葉や感情を、
彼なりに咀嚼しようとします。
死神や死をテーマに扱っているにもかかわらず、
どことなくファンタジーを感じさせる作品です。
伊坂幸太郎[2008]『死神の精度』文藝春秋、文春文庫。
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