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少し前に芥川賞を受賞した西村賢太さんの
作品を読みました。再読です。
「けがれなき酒のへど」と、標題でもある
「暗渠の宿」の2編を収めた文庫本です。
芥川賞受賞の報を耳にし、西村さんの作品を
どれか読んでみたいなぁと思っていたところ、
“話題の一冊”として本屋に平積みされていたので、
手に取ったのがこの文庫本でした。
受賞作より、さきに読んだわけです。
瞬く間に、この作家のファンになってしまいました。
私小説というほとんど読まないジャンルですが、
全てをさらけ出して読み手に迫ってくる文章に
圧倒されて、惹き込まれてしまいました。
西村さんの投影である主人公は、
かなり性格が捻じ曲がってます。
正直、実際に身近にいたら仲良くはなれない、
むしろ、なりたくない部類の人間だと思います。
ただ、ある意味自分に正直で、器量が小さく、
不器用な性格はキャラクターとしてどこか
憎みきれないところがあります。
それに、彼の抱える他人に対する不信感や
常に抱えている心の鬱屈は、自分も確実に
その一片を持っているように思い、
「さすがにそこまでは…ないな」と思いつつも、
何がしかの共感を抱いてしまいます。
人の性(さが)をついてくる私小説です。
西村賢太って凄いッ!!
西村賢太[2006]『暗渠の宿』新潮社、新潮文庫。
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