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感想文のような内容になっているので、
いつもより、ちょっと長文です。
時おり、『文藝春秋』の読者となります。
毎回、欠かさず読むほど、熱心な読者ではありませんが、掲載内容の幾つかに興味を憶えたとき、それに加えて、時間的に、また気分的にも読んでもいいなというときにそうなります。
改めて書くほどのこともない動機ですが、そんな二つくらいの要素が自然と合致した時に、大概、本屋で平積みにされている分厚い、その一冊を手に取り、レジに向かうわけです。
さて、今回の『文藝春秋 九月特別号』ですが、注目した内容は、主に三つ。
まず、「昭和天皇「靖国メモ」未公開部分の核心」について。
これは、7月20日の日本経済新聞朝刊にスクープされた元宮内庁長官の富田朝彦氏(故人)の日記やメモの信憑性、内容やその解釈についての半藤一利氏、秦郁彦氏と保阪正康氏による検証が対談形式で掲載されています。
同メモの内容やその解釈に加えて、日経新聞では未掲載だった部分についても、実際に原文にあたった半藤氏らによる検証が行われています。昭和史を検証するうえで、また靖国問題を検証するうえで、貴重な歴史資料となりそうな同メモの補足資料として、この対談記事は、興味深い内容になっていると思います。一読の価値はあると思います。
次に、「この国のために命を捨てる」について。
次期総理大臣の最有力候補とされる安倍晋三内閣官房長官へのインタビュー形式の記事です。ミサイルを発射した北朝鮮への日本政府の対応についてを主たる内容として、靖国参拝問題についての安倍氏の見解が掲載されています。
北朝鮮への対応については、安保理・国連外交での駆け引きなどが中心として語られています。今回の日本政府の安保理での外交の是非については置いておくとして、安倍氏によるドラマチックな感じさえする語り口、そして、政府の対応が、いかに適切で優れていたかをアピールする弁の巧みさに感心します。安倍氏が人気の高い政治家であり、次期総理大臣最有力候補とされる所以でしょう。あくまで、その是非については、置いておくとして。
靖国問題については、他でも述べている持論を展開しているだけで、特に目新しさはないと思います。
そして、芥川賞受賞作「八月の路上に捨てる」について。
伊藤たかみ氏による作品です。伊藤氏の作品は、過去にも幾度か、同賞の候補作に挙がっていたそうです。今回、晴れて受賞となったわけですが、これまでの落選は、むしろ安定的な実力のある作家さんであるということの証左でしょう。おめでとうございます。
作品は、自動販売機に缶の補給をする仕事をするアルバイトの青年と先輩社員を主人公とする話で、離婚(価値観の不一致)をテーマとして取り扱っています。
言葉の操り方や雰囲気の漂わせ方など、完成度の高い作品だと思います。ただ、インパクトに欠ける気がするのは、僕だけでしょうか。
以上、三つほど挙げてみましたが、その他にも、昭和の戦争についての対談集など、戦争に係る掲載記事も興味深い内容でした。また、オシム監督と川渕三郎会長の対談も面白かったです。
おかげで、ほとんど全てに目を通してしまうことになり、読み終わるまで、時間がかかってしまいました。
そして、この記事を書くのに、時間がかかってしまいました…orz寝なきゃ…。
文藝春秋[2006]『文藝春秋 九月特別号』文藝春秋。
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